東アジア共同体‐経済統合のゆくえと日本‐

東アジア(東南アジア諸国と中国・韓国・日本)による共同体の有効性と道程について.特に前段階として経済圏成立についての詳細.やっぱり,早いうちから考えてる人はいたんだねぇ.
中東,ロシアと緩い結合を持つインド以東のアジア共同体,特にASEAN+中国・韓国・日本の共同体と世界で3極体制を作るという発想は多くの人が持っていると思う.
各国が突出した魅力と不足を持ってるこの地域で,共同体を創るは重要だと思う.もちろん,役割分担ができて捨てるとこは捨てなきゃいけないんだけどね,本書の中でも述べられる農業は第一の例.

しかし,日本の農業の果たす役割と失う見積もりについては述べられていない.情報化時代にあっても近隣諸国から受ける影響は大きいのと同じ原理で,国内の生活圏の農業から受ける教育的・文化的な役割,経済に与える安心感は大きいと思う.これを代わりに共同体を共にする各国の農業から得るには相当の信頼と交流が必要だろう.
しかも,日本の経済的発展に有効とはいえ,本当に多くの国民が望んでいるのか疑問も無くはない.日本文化大好きで単民族国家が脅かされるよりは経済的停滞を望む人,直感的・生理的にとりあえずアジアより西洋風が好きな人,実質的搾取関係にあっても割と平気な人,現状に大変満足して変わらず維持できると信じてる人,色々いるから.
個人的には,平和維持と貧困撲滅を達成できずに,後ろめたい思いが有ったらこの先の人生,最高に楽しめない.快楽と競争は大好きな人間だけど,他人が不幸でスタートラインが揃ってないんじゃ興醒めもいいとこ.東アジアの問題解消への適任は日本だし,日本と中国・韓国との摩擦が問題の発生源にすらなってる.ココから手をつけべきだと思う.
ここでも,我が国の在りたい姿を協議し,外に明示することが第一歩.「こうなったからには」やらなければ,とか,「少なくともこれは」やるべきだから,で政治判断するのは簡単だし,最低限必要なんだけど,それだけってのはやめたい.「こうありたい」って皆が不安なく協力できる大きなベクトルを示して動きたい.
あぁ,発散しそだから切ろう.