コウノトリの歌

割と最近の(?)ベトナム映画(製作はベトナム&シンガポール)で,ベトナム人によるベトナム戦争の映画.
ハノイで映像作家となった語り手の,北ベトナム従軍記者の頃の記録や記憶と,知り合った戦争体験者のインタビューを,当時の映像と再現映像とを織り交ぜて作った作品.

様々な立場の人間が,避ける術もなく戦争に参加し(巻き込まれ),人間らしく不器用に潜り抜け,ある者は死にある者は体と心に傷を負う,というヒューマンドラマな面が戦争の過酷さや残酷さより強く描かれる.
これはこれで戦争の不条理な面を,とてもウェットに感じて,印象的な映画だった.当時を知る者が生きている内に,こういう映画がいくつか製作されるのは良いことだと思う.

元従軍記者がヘリの機関銃に負われた記憶に今も怯えると語り,そんなヘリの機関銃を撃っていた元米軍兵士が森の中にベトナム人兵士が今も見えると語り,隣に座って対話する様子は,,作り物だとしてもドキっとした.