ハンニバル伝説

実在の連続殺人犯についての解説.映画『羊達の沈黙』のレクター博士も引き合いに出しつつ,専門家が連続殺人犯(とくに人食する人)の背景,性質,手法,判決などにコメントしていく作品.
結論としては,「連続殺人犯はアナタの隣に,アナタの中に,居るかもしれませんよ」という感じ.

扱われてるのは動機が完全に内側にある人なので,それについて考えてみよう.自分は連続殺人犯になるかどうか.

いろいろ背景・性質は解説されていて,いくつかは当てはまるものの,俺みたいなマテリアリストについては例なしだから,そっから考えるかぁ.

まず動機.

紹介にあったんだけど,性欲・支配欲から殺人・人食,というのは動機としてナシだと思う.欲は有ってもそんな象徴的な行為じゃ満たされないどころか逆方向.
むしろ紹介にないけど,知識欲というか好奇心から殺人・人食,というのは動機としてアリだと思う.人の死の前後や人の味を知る,ということで.
ただ,腐るほどある世の中の不思議の中で,そのインパクトはいまいちかな.かなり事前に想像できる,夢想するより寂しい結果が予想される,と思う.

次に抑制.

解説によると,悪を感じるところで感じない「病気」だったり,感じてもそれを超えて欲求が募ると結局行動に移る,らしい.
その点で感性や宗教から悪を感じることはあまり無いと思う.まして人食なんて肉体的極限状態で精神が平常なら思いつきそうだし,逆に肉体的にも精神的にも極限状態だと忘れそう.
もちろん社会的には悪を感じるし,かなりの抑制が効くと思う.自分と同じ様に生きる人がそこに居ると仮定して,自分の幸福を最大限に高めようと思うと,そこに必要な社会ルールで殺人も人食も悪になる.

なので,標準型からちょこっとだけ外れたくらいの自分は,大丈夫,だと思う.


短くすると,あらゆる殺人の前に,ソコにある脳みそと電気信号が好意であれ敵意であれのモトを生んでいるという不思議に対する知識欲が立ち塞がるんで,理解を前に壊すというのはありえない.知ろうとするにしろ,壊す手法は最終手段だしねぇ.